岩戸山(いわとやま) 新町通仏光寺下ル

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 屋根裏の「金地著彩草花図」は,明治の日本画壇である今尾景年(1845-1924)が73歳の時の名作。
 前後軒裏の「金地著彩鶺鴒図」は,その弟子の中島華鳳による1931(昭和6)年の作品。

 下水引は波鳳凰文様刺繍,天水引は緋羅紗地鳳凰丸刺繍で,両者とも明治の作。

 前懸は,玉取獅子図中国絨毯。旧前懸として,17世紀李朝製で描絵玉取獅子,鳳凰,虎,鶴文様の朝鮮毛綴も保管されている。

 胴懸は,唐草文様インド絨毯。

 見送は,1986(昭和61)年に復元新調された「日月龍唐子嬉遊図」の綴織(一部刺繍)及び、皆川泰蔵作のロウ染「ベネチア図」。

 宵山では,天照大神にまつわる護符が授与される。

 元来は舁(かき)山だったが,室町時代に,鉾のように車をつけた曳(ひき)山に改造された。室町時代の狩野永徳による洛中洛外図屏風においては,既に曳山として描かれている。
 鉾のように大きな岩戸山だが,鉾ではないため屋根の上には鉾頭の代わりに真松が立てられており,お稚児さんも乗っていない。

 取材は,『古事記』『日本書紀』に記される国生み及び天の岩戸の二つの神話。
 天の岩戸の神話では,弟神である素戔鳴尊(すさのおのみこと)の乱暴に怒って天照大神(あまてらすおおかみ)が岩戸に隠れたため,世の中は暗闇となってしまう。困り果てた八百万神は河原に集まって対策を練り,常世の国の尾鳴鳥を鳴かせ,鏡を鋳造し,五百個の勾玉をつくり,天香山の榊を立て,天鈿女命(あめのうずめのみこと)が舞いを踊り,大宴会を行って天照大神を招き出した。

 山の御神体は,国生みの父である伊弉諾尊(いざなぎのみこと),伊弉諾尊の娘神である天照大神(あまてらすおおかみ),天照大神を岩戸から引っぱり出した神である手力男命(だぢからおのかみ)の三体。
 天瓊矛を持った伊弉諾尊は屋根の上に乗り,白衣姿で胸に鏡を抱いた天照大神と,白衣に唐冠姿の手力男命は中に祀られている。また,鳥居には常世の国の尾鳴鳥(鶏)もとまっている。

見送は日月龍唐子嬉遊図

 


 

新町通の巡行

胴懸は18世紀インド製,段地十字花章緞通の絨毯

 


 

雨の巡行

巡行は雨が降っても決行されるため,貴重な懸装品はシートで保護されている。

新町を下る岩戸山

新町では懸装品も身近に見ることができる

宵山の様子 | 写真集


※関連リンク: 公益財団法人 岩戸山保存会



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